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ネット新聞の可能性 [仕事を考える]

 本を出版したり,雑誌に書いて暮らしを立てるということを検討すると,経済的な問題に直面する。検討すると次のようになる。
 
元手はほとんどいらない。自分が住むアパートを事務所にすればよい。ADSLとファクス兼用の電話回線と携帯を契約したうえで,パソコン,プリンター,ファクスなどを取り揃えればよいだろう。賃貸アパートの家賃,光熱費プラス1-3万円ぐらいがランニングコストになる。
 図書1冊あたり,消費税抜きの単価が1400円だとすると,印税率10パーセントで,
  1400円 × 5000部 × 10% = 70万円
ということになる。出版社から得られる金額は70万円程度である。大よそ3か月程度で1冊を仕上げるとすると,月の手取りは23万円程度で,ランニングコストを差し引いた金額は10万円程度だ。ここから交通費など取材などにかかる経費を差し引くと,実質月数万円の収入である。なお印税率10%は印税としてはほとんど最大値で,4-7%の場合もある。そうするとさらに収入は低い。この中から国民年金,国民健康保険,所得税などを支払う。赤字になりそうである。
 

 「文筆家は貧乏でなければならない」という昔ながらの説教が聞こえてきそうだ。

 印税率というのは交渉次第だが,1割しか得られないのはどういうわけだろう。これは取り次ぎや出版社が儲かるようにいろいろと古い体質があるからだとされる。
 

 こういうものの突破口として,本や雑誌などの紙に情報を印刷せずに,情報の直販ということをやっている人たちがいる。インターネットメディア(ネット新聞)である。自分でインターネットサイトを主催して,自分が書いたニュースやコラムをクレジットカードを登録した人たちを対象に閲覧させる。あるサイトは1か月の料金を1890円にして,読者が200人近くいるという。こうなると売り上げが月37万8000円もある。大成功かと思ったら,「サイト開設にお金を500万円かけたのでまだ赤字。そのほかにサイトの維持費として月数万円かかる。更新が1人じゃなかなかできなくて・・・・・取材のための交通費がひどくかかる」という話だった。確かにそのサイトの更新は毎日ではない。ネット新聞に登録した人は毎日見るだろうから,毎日更新しないとちょっと消費者としての満足度は低くなるかもしれない。

 友人が地方産の野菜のインターネット直販を副業としてやっているが,こちらは売り上げが月に10万円ぐらいで苦しいらしい。ネット新聞は販売するものが文章や画像や情報なので,付加価値が高いのだろう。

 ネット新聞を開設した場合の売り上げ,儲けや将来性のことについていろいろ考えていたら,NPO関係の情報を扱っているour planet tv http://www.ourplanet-tv.org/ というサイトにめぐり合った。中身は地球環境問題や人権,南北問題をかなりジャーナリステックに扱っている。サイトの体裁もよい。いろいろな専門の人たちが協力し合って映像や原稿を作っているようだった。品質がよいものなのに,無料であった。こういうサイトを運営したり,映像や原稿を提出すれば,収入というよりも,経費がかかるだけで,金銭的に得なことはないなあ・・・・などと考えいるうちにハッとしてしまった。このサイトが扱っている問題は地球や人類の将来に関係する緊急の問題なので,若者としては多少の損得など度外視してやる必要があるだろう。そうした使命感を持った人たちと比べて,なんと私は心が汚いのだろうかと感じると,大いに反省してしまった。


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