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コレクティブという映画 [日ごろのこと]

 ルーマニアのドキュメント映画「コレクティブ」という映画を見た。ルーマニアでは消毒液メーカーが基準より濃度が低い消毒液を病院に供給し、病院経営者がバックマージンを受け取っていた。病院でその消毒液をさらに薄めて使うので効かなくなり、院内感染が蔓延して、患者が死去することが相次いでいた。病院利権のために患者が死ぬのである。

 スポーツ紙の老獪なトロンタンという編集長のチームが追及した。世論を喚起し、デモも起きて、社会民主党政権が倒れ、保健相が交代。さらに内部告発も相次いだ。

 ウィーンの証券会社で働いていたヴォイクレスクという若い後任の保健相は改革に奮闘する。しかしジャーナリストは脅され、次の選挙で社会民主党は圧勝し、ヴォイクレスクも退任する。

 正しいということは通らないどころか、むしろ悪が繁栄することがある。院内感染が広がっても、当面のカネが欲しいという人はいっぱいいるようだ。

 ヴォイクレスクの父親が選挙結果に驚き、そして息子に電話をかけ「もう逃げていいぞ」「そこにいては苦しいだけだ」とウィーンに戻ることを促す。優れた父親に優れた息子なのである。

 だからだめな国家、だめな国民を良くしようという努力も大事だが、いい加減にして身を守るのも人生の知恵である。

 ルーマニアには基本的人権も民主主義も時期尚早という考え方もあるだろう。また悪が栄えに栄えてついには自滅するまで放っておくという手もあるだろう。

 正しいことを貫くということは重要である一方、腐敗と悪事の蔓延した所に突っ込んでいくのは危険である。腐敗と悪事の側は必死になって抵抗し、反撃するものだ。

 正義感は損だよと偉そうに言うのは簡単だ。何とも悩ましい。

 上手くいかないことは上手くいかないでいいということもある。上手くいかないからこそ、殺されずに済んだということもあるのだ。
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長期的視点 [自分の身体は自分で守れ]

 課題や問題があったら、早く何とかしようとするものである。私は努力主義、課題解決主義だから、何とかしようとする。一方、長期的視点ではどうだろうか、このまま放っておいたらどうなるだろうかと想定することがある。

 例外はあるが、組織でも人物でも、これは大丈夫かと心配させたり、何となくだめだなと思わせるようだと、長期的には現状維持が精いっぱいか、そのままだめになるものである。万が一でも成長したり改善したりすることはない。イノベーティブなことは起こらない。組織の場合、消えてなくなってしまう。全体の傾向というものに逆らえないのだろう。まさに運命である。

 運命なのだから、そうしたところで改革や改善を促すと、苦しむことがある。そうした善事をくれてやるほどの価値がないのである。

 だめな人物、だめな組織は放っておくしかない。
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