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ライブドア社に天下りはいたのか? [社会を考える]

捜査当局の天下りを受け入れる企業
 百貨店の総務部長は民間出身ではなく、元警察幹部であることがよくあるらしい。地元の県警本部当たりから、退職後、著名百貨店の支店に就職するのである。天下りだ。

 これは百貨店の営業などに関係して、トラブルを予防するほか、さまざまな不祥事について、百貨店と警察当局と協力するためである。百貨店の中で犯罪(たとえば、窃盗など)が生じると、この天下り警察幹部から警察に通報してもらうと、警察はよく捜査してくれる一方で、捜査後に広報についても配慮してくれるのである。百貨店としては天下り警察幹部に給料を払うだけの見返りがあるといえよう。これは社会的には企業と捜査当局との癒着、などと表現できる。

 私は新聞記者時代、先輩に「天下りの実態を書きたい」と言ったところ、この先輩に「とんでもないことを言う奴」と非難されて、阻止された。その後の、捜査当局への取材が難しくなるため、業務上の都合から、書かないほうが賢いのである。癒着関係は新聞記者の間では、公然の秘密である。

 警察幹部の天下りだけではなく、労働基準監督官に睨みを効かせるために、企業が旧労働省幹部の天下りを受け入れるケースがある。過労死事件などについて表している図書を読むと、東京海上火災保険(損害保険会社)が旧労働省の元幹部を受け入れることで、労働基準監督署の調査をストップさせた話が出てくる。「私どもよりもずーっとエライ人が会社の中にいるのです」というのが捜査に当たった、現場の労働基準監督官の言葉だ。

 テレビドラマの水戸黄門ではないが、越後屋(企業)と代官(捜査当局、あるいは役所)との間の癒着は、にっぽんの古い社会を象徴しているといえよう。

ライブドア社幹部が逮捕される
 
さて、ライブドア社の幹部4名が証券取引法違反などの容疑で逮捕された。ウエから4名を逮捕すれば、会社はその日に業務停止に追い込まれるほどだろう。非常に強力な国家権力が発動されたといえよう。手加減なしである。

 私が不思議に思うのは、グループ全体で1,200名を超える人員を抱える企業であれば、警察庁、経済産業省、財務省、証券取引等監視委員会、厚生労働省などの業務や人事労務に関係する省庁の天下りを受け入れてもいいはずである。

 このような、まるで、「癒着の方法」のような話は、経営者同士で情報を交換するものだが、ひょっとすると、新しい企業、新しい会社、若手幹部であったため、あまり思いも寄らないことであったかもしれない。

 元東京地検特捜部長の河上和雄氏は日本テレビの番組で、ライブドア社事件について、コメントして、「人間性がね・・・・人間がお粗末過ぎますよ」と話していた。私は「人間性」という言葉の意味が、「検察幹部の天下りを受け入れること」というふうに聞こえた。

 私はある程度の確信を持っていうが、権力の階段をうまくのぼって、管理的地位にある中高年は「人間性」という言葉をこのように使う。一般の意味とは違う。「人間性」とは、「われわれリタイヤした中高年のワガママを許す」という意味に使うのだ。

 河上和雄氏自身は実質的に日本テレビグループに天下りしているようなものである。同氏はロッキード事件で活躍したと言われるが、当時若手で捜査に尽力したのは堀田力氏で、河上和雄氏はマスコミ広報役を果たしたに過ぎないようだ。

 だから、河上和雄氏は「われわれ、検察幹部の天下りを、中高年の面倒をみなかったから、ライブドア社は捜査を受けたのですよ。人間性がお粗末なんですよ」という意味の言葉を言ったように思える。

 私は国家権力の内部にいる人たちの、ワガママさと、そのワガママが通らないと、権力を使って何でもやってしまう、オソロシサを何となく感じてしまう。


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