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労使折衝の経過 [仕事を考える]

 会社側は10日、労使の折衝の中で「解雇撤回+解決金」を出してきた。「解雇撤回」と言っても、本人は退職するのが条件である。提示を受けた解決金額は、要求額の23%の値である。低過ぎる金額である。

 組合の顧問弁護士は「最高でX円だろう、せいぜいY円だろう」と話していた。提示を受けた解決金額はXの47%、Yの80%だ。

 会社側は今週の折衝で、労働組合に「何を話し合っていたんだっけ?」などとすっかり忘れたふりをするのだと、私は予想していた。だから、「解雇撤回」だの「解決金」だのを期待していなかった。今週の折衝は日程が遅れたのだがその理由は「取締役のうち2名が風邪をひいて会社を休んだ」という情けない理由である。今回は日程が遅れたものの、「解雇撤回」「解決金」を提示してきたのだから、私としては評価しなければならないだろう。

 会社側は「これが会社が考える“相場”だ」「最終的な金額ではない」などと言っているという。私がとても奇妙に思うのは、労使の折衝の中で、日本語が一般の意味とは別な意味で使われたり、誤用されたりしていることある。

 例えば「相場」というのは、世間一般の相場である。調べてみると解雇事件のケースでは年収分を規準に半年分から2年分程度が、相場と言える。ところが、会社側は自分で「相場」というのを勝手に作っているのだ。また、「最終的な金額」ではないのならばその「最終的な金額」を折衝の場で言えばよい。「最終的な金額」を出さなければ折衝にならないだろう。

 「これが会社が考える“相場”」は「世間の相場を無視して、会社が決定した解決金額はこのくらいで、本人にはこの金額で納得して欲しい」と翻訳することができるだろう。また「最終的な金額ではない」というのは「納得できないときは解決金額を上げるが、訴訟はしないで欲しい」と翻訳することができるかもしれない。

 「解雇撤回」は評価できるだろう。ただし、本人への謝罪がないこと、解雇理由をでっち上げていること(ドアをバタンと閉めた、など)、原因が会社側にあること(受動喫煙対策をまったくしていない)、提示された解決金額が低いこと、そもそも求人/雇用条件にウソが多いこと、などを考え合わせると、腹が立ってしまった。

 冷静に考えると、折衝はようやく動いてきた、と全体を評価することができる。このような言い方はあまりしたくないが、平均でE評価しかもらえない人たちが、C評価をもらっているようなものだ。

 労働組合は活動を完全週休2日制でやっている。私は「週休2日でやって、勝てるわけがない」と執行部に主張したことがある。社員も組合員も真剣に仕事をしないし、仕事の能率は低いし、何しろ1日の労働時間がとても少ない。6時間ほどであろう。取締役は午後6時前に、帰宅するらしい。労使共々、サボっていたり、ダラダラしていたり、しているように見える。

 このような、勤勉でないこと、真剣さがないこと、愚かなこと、だらしがないこと、情報に疎いこと、などという社風(ムラの掟)については、私は理解できないし、馴染めもしない。私のほうで馴染もうともしていない。

 ただ私は今回学んだのは、このようなムラ社会に接した時、事実を指摘して、批判するだけではいけない、ということである。向上心が強い人であれば、批判されれば、反省したり、奮起して努力したりする。ところが、向上心が弱い人であれば、そのようなケースで、相手を恨んだり、泣いたりするだけである。

 「批判されても、どうしたらいいか分からない」「私のことが嫌いなのか?」というの向上心が弱い人の本音だ。彼らに必要なのは助言や助力である。

 こういう風にしたらいいだろうという具体的な助言や、もし実行したら協力しますよと助力するということが、最も効果的なのである。educational(教育的)な態度が必要なのだ。

 取締役は私に対して「編集者として成長してくれ」などと採用の狙いを話したことがある。ところが、「成長」しなければならないのは、現実にはこの取締役のほうであった。たとえば「悪質なウソを、自分よりも立場の弱い人に言わないようにしましょう」などという、人間としてとても基本的なことができないのだ。「取締役としての成長をして、労使の折衝では、ウソを言わないようにしましょう。ウソを言わないときは評価してあげましょう」という心持ちが、私に必要なことである。


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