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本名を明かさなかった男 [日ごろのこと]

 知り合いだが、あまり親しくない男が、私に相談したいことがあると、メールを送ってきた。緊急だという。それではと、私は翌日午前、時間を取ろうとしたが、男は「資格学校に通っている」という。緊急なのに通学の必要があるのかと、疑問に思った。メンドウ臭いので、近くまで来てもらって、店で一緒に飯を食った。

 男は免許証を私に見せた。映り映えが悪い顔写真だったが、男の顔であった。ただし、記されている氏名が違う。男は、いままでの名前は本名ではなかったと、私に明かした。ライターやジャーナリストは、ペンネームを使うことがある。しかし、日常生活で偽名を使うなど、聞いたことがない。男は危険な仕事をしていない。だから、偽った名前である必要はないはずだ。私は男に「この免許証だって、ホンモノかどうか、判らんじゃないか?」と正した。その上、男は、世間で嫌われている宗教団体に属しているという。「宗教系大を卒業しているので、宗教団体の会員であるかと疑われて、就職の時に企業から差別を受ける」という。男は実際、会員なのだから、疑われると嘆くというのは、理解出来ない。だから、企業は差別しているのだろう。差別については、信教の自由を侵すものかもしれないが、それを私に嘆いても、決して問題解決にはならない。

 男は新たにグループを作って、自分がリーダーに就任するから、メンバーに私の名前を使わせてくれという。私は断った。男は「迷惑はかけない」という。私は迷惑と判断して、再び断った。

 私は何でこんなヘンテコリンなヤツと知り合いだったのだろうかと、後悔した。考えてみると、男はいつも奥歯にモノが詰まったような言い方をしていた。何となく、腹にいつも排泄物が腹に詰まっているかのように、表情を歪ませていて、態度が落ち着かなかった。太り過ぎの巨漢なので、その姿が滑稽でもあった。

 男はしつこい。私にまた「緊急だ」という。しつこく電話をかけてくる。男にとって緊急でも、私にとっては緊急ではない。私は、放っておいた。そして、男が焦って、私にヘンテコリンなemailを送り付けてきたことを確かめて、それを理由に「どういうことだ、説明しろ」「いい加減にしろ」と電話で迫った。私は、男が今後、私のemailと電話番号を使うことを、禁じた。

 男には決断力、自制心、行動力、体力、勇気など、リーダーにふさわしい条件が、何1つない。グループ結成に当たり、誰も賛同せず、いったん賛同した人間にも去られたので、私に「名前を使わせてくれ」と泣きついたのだろう。

 男の周囲に尋ねると、かねてからヘンなヤツなので、相手にされず、孤立していたという。男は、自分が周りに相手にされず、私が偏見を持たずに口を聞いてやったので、嬉しくなったのだろう。人に親切にすると、かえって舐められることがある。

  人間関係というのは難しく、とりわけ、程度が低い人間には、注意して接する必要がある。


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