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初恋を弔う その2 [日ごろのこと]

 私は新聞記者として一人前になり、就職前年に付き合っていた年上の女性と結婚したかった。そしてそれは適わなかった。適わないからといって、私は現在の自分を「恋愛に失敗した男」と捉える必要はない。そして「恋愛に失敗して、道を誤った」と考える必要もない。

 冷静に考えると、恋愛に失敗したこととこれまでの道のり、必ずしも因果関係がない。むしろあまり関係がないだろう。私は彼女がいなくてもしっかりしていて何とか生きてこれた。仕事の困難さは彼女がいてもいなくてもあったことだろう。

 もちろん結婚できず残念である。しかしそれを人生に結び付けて、重く重く考える必要はない。失敗で、その失敗の延長が現在という認識は誤りである。

 彼女の側の事情も思い起こしてみる。私と結婚することはあまり現実的なことではなかったのかもしれない。年上だから私より冷静に考えたことだろう。

 私は今、初恋を弔えるか、もう少しもう少し…というところにいる。私は次に行かなければならない。だから記憶を弔う必要がある。彼女はその時、本当に美しく見えた。美しいものの、記憶は残していいだろう。彼女に恨みはない。ただ美しいものが残っている。心の奥底を探ってみると後悔、悲しさ、寂しさ、苦しさというものがある。以前よりよほどそれは小さくなっている。雪が陽に当たって小さくなるように消え去ればいいのだろう。ただそれだけである。
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