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“敬老”の精神(2)

 先週のある日、始業前に出勤したところ、「ちょっと話をしたい」と高齢の社員に呼び出された。何と喫煙室に入れという。

 この喫煙室というのは狭く、薄暗く、小汚い。もしタバコ臭くないとしても、このようなアヤシイところに引き入れようとする神経というのはどうかしている。話をする前に人格というものが分かるというものである。

 ということで、私は適当な理由をつけてそこに入ることを断った。すると会議室に来いという。ちゃんと部屋があるではないか。

 「仕事はどうだ?」と尋ねる。「お蔭様で・・・・」という枕言葉を付けるのを忘れたが、いろいろ慣れないところもあるというふうに答えて、私は一礼した。

 どうも気になるのはそうしたことではないらしい。「人に対してどう思う?」と畳み掛けて尋ねる。私は「あなたのようにタバコを平気で吸う奴は嫌いだ」と思わず言いそうになったが、「いえ、みなさんよくしていただいて・・・・」と答えておいた。何だか「自己主張しにくいだろうが」というふうに尋ねられた。確かに私は自己主張していない。あえてしていないのである。

 調べてみると、私の今のポジションは過去に派遣社員が短期間で辞めている。また、別の部署の話だが、そこではアルバイトが1か月の間に3人代わっていたりする。辞められるということに敏感らしい。

 ところが、人が辞めるというときは、それはほとんどが職場に原因がある。どうもここの職場は、分析してみると、給料はやるが、面倒をみたり、仕事を指導したりするということがなく、放っておくということをしているらしい。

 これはアルバイトについてだが、インターネットの求人広告をみると、「パソコンの操作など親切丁寧に指導します」と書いてある。ところが、実態はアルバイトが社員にパソコンの操作を親切丁寧に教えているのである。これには私は噴出しそうになった。

 このようなことを改善するのに対して、「人に対してどう思う?」というのは愚問であり、分かっていないというべきである。

 どうもこの人の頭の中は「職場の人が嫌いだから辞める」と思っているらしい。まるで恋愛のようである。

 そういえばそのように考えると、これは女性的な発想である。過去の社内報を見ると、辞めていった派遣社員も、次々と代わる別のセクションのアルバイトも、みんな女性である。彼女らは辞めるときに「○○さんが好きになれなくて・・・・」などと退職する理由を挙げたのだろうか?

 なるほど、だとすれば、辞めるのを予防するために、同じような理由がないかどうか探ったのだろう。

 人間というのはこのようなことが多い。たとえばA大学出身者のXを採用する。ところが辞められた。そこで、翌年同じようにA大学出身者Yが採用面接に訪れたところ、「A大学はねえ」などと言って、問答無用で採用を見合わせたりする。XとYは別の人格である。

 辞められた原因は本当は、職場の上司の態度にあるのだが、「A大学出身者であること」だと思ってしまうのである。悪いのは、原因は、いつも自分以外なのである。

 ところで、私はこの高齢の社員に文句がある。それは、1時間に何度も喫煙室でタバコを吸って、私の席にそのにおいが来るということだ。けっこうな濃度である。そのようなことを改めず、「人に対してどう思う?」はないだろう。

 よくよくこの人の顔を見つめていたが、赤ら顔で実に元気そうな高齢者だが、知性はあまりないようだ。声が大きいだけの、ただの老人である。私はアルコール依存症ではないかと疑っている。

 なお、私は上の1件が腹が立ってしまった。高齢者なのに自分の身を改める、という精神がないのだ。

 このような考えが外に表れてはまずいので、“菓子折り”作戦(Operetion 'Sweets')と称して、職場に菓子折りをプレゼントした。私も政治的に(すなわち、嘘つきに)なったものだ。


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