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殴るということ [社会を考える]

■殴打事件の概要
 
朝日新聞の世論調査を担当する40歳台の記者が30歳台の記者を殴ってしまった末、けがをさせたということが夕刊紙に報道された。

 総理の靖国参拝についての是非について世論調査を行ったが、その結果が「賛否が拮抗している」とする社説と違って、賛成のほうがわずかに多いという結果になった。そこで、2人の社員は数字を操作する作業を行っていたようだ。そんな中、その操作の幅がオカシイと抗議した30歳台の社員が40歳台の社員に殴られたようである。

 そもそも世論調査の数字を操作する、ということがオカシイので、2人ともいわばウスグライ仕事をしている。そのような不正を行うために、新聞記者になったかと思うと、実にナサケナイだろう。そんなウスグライ仕事の中での出来事だ。犯罪というのはこういうところで生じやすい。
 
■事件の背景を想像する
 想像するに、記者は2人とも「こんな不正なことはやりたくない」と思っているのにもかかわらず、「組織だから」とか何とか自分に言い訳して仕事をしていた。ところが、イライラして互いに批判し合った末、殴る、殴られるということになったのだろう。そのアツイ思い、すなわち情熱が、社会悪と対峙したり、権力者への批判へ向かうのではなくて、同僚を殴る、殴られるということに向かうというのは実にナサケナイことである。

 これは以前に書いたことだが、「新聞記者は50歳前後で死亡することが多いが、社会悪を追及したり、権力者への批判の末に暗殺されるのではなくて、実はタバコを吸いすぎたり、アルコール依存症になったりして、健康を壊した末に死ぬのである」ということに通じる。そこには、ただ、ただ、情けなさがあるのだ。

 
私にも上司の横暴に遭遇した体験がある。新聞社で選挙のシュミレーションをやっていたが、シュミレーションの結果が、本社の意向に合わなかった。ある選挙区で「議席2を民主と自民で1ずつ分ける」という結果を出したところ、「そうじゃないだろ。自民が2だろ」と本社の次長に言われたことがある。怒鳴ったところで、シュミレーション結果が変わるわけではない。事実は変わらないのである。何を根拠に「そうじゃないだろ。自民が2だろ」なのか理解に苦しみ、論理的に「民主1、自民1」であるということを説明した。また選挙の結果は、私のシュミレーション通りであった。

 ところが、私のようなケースはまれのようである。新聞記者というのはナサケナイ奴が多いから、「そうじゃないだろ」と上司に言われると、「どうしましょう? データの方を変えましょうか?」などということになって、結局は上司の都合がいいようにデータが変えられるということが生じてしまうのである。

 新聞社というのはそういうところである。つまり、とても権威主義/官僚的なところである。「ウエが言ったことが絶対」なのである。

■なぜ新聞記者はナサケナイか?
 これについては、いろいろと考えてみたが、決め手となるような理由は見つからない。昔も今も、「新聞社がイヤになった」と転職する人が多い。だから、人材が残らないのだろうと、私は勝手に判断している。


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コメント 4

はじめまして。
学生時代、マスコミ講座かなにかで、講演に来た新聞記者が
非常に横柄な方だったことを思い出しました。
新聞記者って、こんな人種たちなのかと思い
関心が薄れた記憶があります。
おっしゃるとおり、その情熱が社会悪とか、
マスコミ本来の機能に向けられれば、と思います。
by (2005-10-30 19:34) 

メイのかつおぶし

Mrノリックさんへ コメントをいただき、誠にありがとうございます。新聞社の幹部というのは、都合が悪いことがあるとすぐ怒鳴ったり、恫喝したりして、我慢というものを知らず、性格的にはまるでワガママな子どものようです。私の個人的な体験では、人格的に成熟した老記者が、地方に何人かいて、いろいろと教えてもらいました。そのことが救いになっています。
by メイのかつおぶし (2005-10-30 21:26) 

tyokyori-sousyano-kodoku

先日、職業別ストレス度ランキングというものを見たら、もっともストレスの高い職業1位はマスコミでした。
思い通り、想像通りにならないこともおおいし、パワハラはあるし、そりゃあまじめなひとほどストレスがたまりますよね(困)。
by tyokyori-sousyano-kodoku (2005-11-01 21:33) 

メイのかつおぶし

うかつ者さんへ コメントとナイス! をいただき、ありがとうございます。
「職業別ストレス度ランキング」でワースト1位なんですね。確かにもともと、あんまりいい職業ではないのかもしれません。
就職難ということを考えると、職業の実態がもっともっと分からないと、労働者は不幸だと思います。
by メイのかつおぶし (2005-11-03 07:01) 

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