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映画「クライマーズ・ハイ」と、日本のマスコミの幼稚さ

 映画「クライマーズ・ハイ」は、1985年の日航ジャンボ機墜落事故への報道模様を、テーマにしたものである。舞台は、架空の“北関東新聞社”だ。ある年配者に勧められて、私もDVDを見た。

 映画は、荒削りな印象も受けたが、新聞社の雰囲気をよく伝えている。どの記者が墜落事故でのデスクに選ばれるかで社内で揉めたり、現場で奮闘する若手記者の原稿を、上役である社会部長が邪魔をしたりしている。こうしたいがみ合いは、新聞記者同士の「オトコの僻み」という内部要因から生じるのである。「政府による圧力」や「組織による威嚇」という外部要因ではないのだ。私自身は、巨大事故の取材に遭遇したことはないが、内部要因による妨害を体験したことは、幾度かある。

 職場で記者同士の妨害が横行すると、新聞社の利益に繋がらない懸念が出るが、実は新聞というのは何を掲載しても、あるいは何かを掲載しなくても、売上高には影響がない。日本では、公取法(再販禁止)や日刊新聞法(株券譲渡制限)など100以上の法律で、新聞社が保護されているからである。

 締め切り時間が切迫している中、「オトコの僻み」という感情に拘泥して、記者同士が泣きごとを言い合って責任逃れをしようとしたり、怒鳴り合って責任転嫁をしようとしたりする。これは、職場においても記者以外の人間には、異様な光景に感じられるだろう。パート女性から私はこっそり「みんな子どもみたいに見える」と、感想を言われたことがある。

 「クライマーズ・ハイ」では、こうした「恥ずかしさ」を、よく描いている。常識ある会社員であれば、「新聞記者って、職場で仕事もやらず、何をやっているんだ!?」と疑問に思うところであろう。しかし、職場では部下や後輩を平気で怒鳴りつける新聞記者たちは、外に出ると自信がなくなる。私は、今、ボランティア関係で、マスコミの電話取材を取り継ぐ仕事をすることがある。電話取材では、記者たちは自信が無さそうな、か細い声を出す。いずれもベテランや中堅記者である。私は、記者たちに「尋ねる前に、3日前の御宅の会社の朝刊を読んだらどうか。あなたが尋ねたいことが御宅の新聞にちゃんと掲載してある」「面談で取材する時は、必ず電話を入れて本人の了解を得て、アポイントを取ることが必要だろう」等と言うことがある。威張って電話を寄越す記者に対しては、取材を取り継ぐこと自体を、省略する。

 私は、スペインや米国、中国など海外メディアへの対応も経験したが、彼らとは話がきちんと受け答えになる。彼らは、取材趣旨を明快に説明するので、私としても取り次ぎが楽である。海外メディアの連中は、アタマの中が整理されているし、教養もある。どの国のメディアの人間でも、2,3か国語は話せるようで、英語は必ず通じるから、コミュニケーションに問題がない。

 一方で、日本の記者は、「何かないか」あるいは「こういうネタを中心に番組を作っているが、該当するネタはないか?」というふうな電話の入れ方をする。私は、「何もないし、そういうネタもない」と答えると、「でも関連で何かないか?」と尋ねられる。まるで阿呆と話をしているみたいだ。そういう時、私は時間の節約のため、「私は忙しいし、電話番は今、私1人だし、電話が次々とかかっているから、電話はあと1分以内にしてくれ」と頼む。すると、彼らは「済みません」と言って慌てて受話器を置く。日本の記者は、間抜けな質問を次々と繰り出す。日本人同士なのに私の日本語が通じないことも多い。

 日本のメディアは、実は幼稚で、ちゃんと仕事をせず、知性もない連中だという事実は、もっと広く知られていいことである。


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