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「やりがいシンドローム」 [日ごろのこと]

 私はかつて、ずいぶん、仕事の「やりがい」、ということを求めたことがある。自分の仕事には、やりがいがあるべきだ、と考えていた。仕事というものは、正当な労働である限り、人に役に立っている。自分の仕事が社会に役立っているかどうかについて、懸念する必要はない。だから、やりがい、というものは、個人のとらえ方によるものだろう。

 私は、年上や同世代の人たちに、なぜその仕事を選んだかということについて、尋ねたことがある。彼らは、仕事を選ぶに当たっては、「司法試験に落ちて、その後、適当な道がなかったから」「父親が同じ職場だったので、紹介された」「仕事が楽そうで、実家から通勤できるから」「安定してそうだから」等と、答えた。彼らの動機には、「やりがい」がなかった。どうやら「やりがい」は、仕事を選ぶに当たっては、重要なこととはみなされていないらしい。私は、これに不思議に思った。

 私が、「やりがい」というものに、注目してしまうのはなぜだろう。まるで「やりがいシンドローム」である。自分の経験によると、やりがいがなく精神的に苦痛な仕事ほど高賃金で、やりがいがある仕事は無賃金労働、ボランティアである。やりがいと賃金というものは、トレードオフ的な関係にようだ。


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