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日々、新しく生きる [仕事を考える]

 「ゲゲゲの女房」(NHK連続ドラマ)を見ている。水木しげるは、太平洋戦争で南洋に出征して、片腕を失った。近所の、貸本屋の女主人の夫は、北方へ出征したことがあるという。男は、電気工事の腕前は確かなので、シベリア抑留中、強制収容所では、特技を生かして、何とか食いつなぐことが出来た。しかし、これを妬んだ日本兵の仲間から、男は吊るし上げに遭った。

 帰国すると、男は子どもが疎開先で死んでいた、ということを知った。それ以来、貸本屋を営む妻と母に養ってもらい、何もせずに生きている。男は、ある日、水木しげるに尋ねる。「先生は、漫画という仕事をしたことで、それで裏切られたらどうするのか」。水木しげるは「戦争でえらいめに遭った人はたくさんいる。死んだ者がいちばんえらいめに遭った。だから、私は生きている人間に同情しないことにしている」と話した。男は、茨城県で電気工事の仕事を、再開するため、旅立っていく。

 私は、この言葉が男への、励ましのように聞こえて、何とも感動してしまった。人間は、日々、新しく生きることが重要である。人生では、何かを失う、という体験がある。それは、健康であったり、職であったり、人間関係であったり、家族であったりする。不思議なことに、喪失はいくつか、連続することがある。こういう時は、何とか問題を解決しようとして、もがいてもなかなかものごとが進まない。

 人間は、ストレスを無意識領域で、処理しているという。喪失が続いて、無意識領域がいっぱいになると、意識や行動に悲しみが出てくる。こういう時は、grief work(喪の作業)というらしいが、時間をひたすらにやり過ごすほかない。おおよそ、1年の期間が、かかるらしい。そして、それはどこかで、終わる時期がやってくる。時期が来れば、勇気を持って、現実に戻るのが、重要である。


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