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退職相次ぐ [仕事を考える]

 退職者がまた出るらしい。キャリアチェンジで中途入社3年目の編集者である。年末に至らずに出勤しなくなるようだ。教育畑出身らしく国語力があるためか、仕事ぶりは良かったのではないかと思う。もったいないと思ってしまった。

 ただし月刊誌の発行部数が毎年低落しその幅も拡大していること、会社が部数増のための営業に取り組んでいないこと、販売不振を編集のせいにする体質があることなどの問題が山積みである。月刊誌の将来性はカウントダウン状態である。

 もったいないと言えば若手がいずれなくなる月刊誌にエネルギーを注ぐのだとしたらもったいないとも言える。また現在、雇用マーケットは求人難状態だから転職を考えるだろう。

 本人に尋ねてみなければ分からないが、観察する限り、何となく顔色が悪い。今までも転職が決まってから退職する社員と、後先もなく退職する社員を見てきた。前者は前向きな表情をしているのに対し、後者は退職を決めると顔色が悪くなり、また元気もなくなる。だから今回も後者のほうであろう。

 こうして順序立てて考えると、今回の編集者は恐らくは旧態依然たる体質に付き合いきれない、アイデアが生かされない、経費節減が不満である、将来性が不透明などの理由で、賞与が出るタイミングで取り敢えず退職を決心したというのが理由である可能性は大きい。会社のほうは働きぶりに不満はない一方、社員のほうは会社や仕事に不満があるということだろう。

 地元出身者だから、退職したからといって衣食住に困るということもないだろう。

月刊誌など紙媒体は衰退していく一方だから、キャリアップしたいならウェブや動画などに移り、かつ対象市場も変えなければならないだろう。その際、在職中にそうしたスキルを身に着け、また転職を確実にしてから退職するのが戦略的には正しい。しかしそこまで考えが及ばないのだろう。

 これまで何人も編集者、記者、カメラマンたちが退職していったが、同じ職種で正社員という話は1件も聞かない。フリーライター、無業者、家業に就く、語学留学、病気治療専念などである。年収という意味では家業を除いて、恐らくは10%になったりゼロになったりであろう。マーケットで通用しないのだろう。

 今回の編集者も考えが甘いと言えばそれまでだろう。しかしその意味について考え込んでしまう。

 衰退するマーケットの中にいる中小企業でよく適用してきたスキルが他のマーケットではあまり必要されなかったり、無益とされたりするだろう。そうした意味で苦労するだろう。

 かといって現在の仕事を続けるのに納得がいかないときはどうすればいいのだろうか。私には分からない。私の場合は状況は異なるが、MBAを修了し、幾つかの資格に合格した。

 今回の編集者は能力的にも高いし、教員免許などあるだろうから、塾講師にでも戻ったり、場合によっては塾を開業することもできるだろう。これまでの退職者のように他の選択肢がないということはないだろう。

 ただし囲い込まれたサラリーマンだからこうした意味であまり自由がないのである。在職中に何とかするということも選択肢にあったのにそれはそれで真面目過ぎたのかもしれない。
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