SSブログ

角度を変えてみる [日ごろのこと]

 浪人して予備校に通っていたときに,インキンタムシになったことがあって,近くの皮膚科医院に通っていた。寮生活を送っていたので,共同の不衛生な洗濯機を使っていたことが原因だったらしい。何しろ痒いので,勉強が大変だった。その医院は皮膚科専門だし,高齢の医師は経験がありそうなので,安心してかかっていたが,なぜか全然治らなかった。処方された薬を毎日塗っても痒いのは止まらない。インキンタムシはなかなかたいへんな病気だなと思った。

 受験した学校に合格したので,その寮を出ることになったが,今度はその医院に通院することが難しくなった。医師に相談すると,新しく住む下宿近くの皮膚科医院に転院するようにと言われた。早速指定された病院にかかって,中年の医師に薬を処方された。その薬を塗ると,問題のインキンタムシは3日で治った。

 「実は前の病院では6,7か月間通って,薬も毎日塗っていたのですが治りませんでした」
 「どんな薬を塗っていたのかね?」
 「それは分かりません」
 「では調べてみてください。電話するといいですよ」

 始めにかかっていた皮膚科医院に電話してみた。医者は治療中を理由になかなか電話に出てくれなかったが,ようやくつかまえた。

 「転院先の医師が治療の参考に今までどんな薬を塗っていたのか教えてほしいとのことなんですが・・・・」
 「転院したのですから,転院先の医師に処方をまかせるべきです」
 「いやそうではなくて,そちらの治療で使われた薬の内容が知りたいと,現在の医師がいっているのです」
 「転院先の医師に処方をまかせてくださいね」

 論理的に成立しない返答が続いたので,私はあきらめてしまった。「薬の処方内容については教えてくれませんでした」と中年の医師に報告せざるを得なかった。しかし,インキンタムシは再発せずに2,3度の通院で完治した。

 病院は変えずに,医者を信頼して,我慢して根気よく治療すべきだというのが一般的な考えである。一般的な考え方をする人にとっては,すぐに転院したり,複数の医師に平行してかかったり,主治医の治療内容を他の医師に評価してもらったりすること(セカンド・オピニオン)は思いがけないことである。ところが,治療のためにはその思いがけないことが必要なこともある。私の場合は入学して住む場所が変わったことが大きなきっかけになった。

 角度を変えて,考えてみるのは大事なことである。フットワークは軽くせねば。


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 1

コメント 4

エア

同感です。
 私も学生の時交通事故に合い緊急病院に10ヶ月入院しましたが、手術2回しても改善されず、国立病院転院し手術1回で回復しました。それも国立病院ではギブスしないので驚きました。(3ヶ月で回復)看護士(看護婦さん)の方には今でも感謝しております。
おかげで卒業まで5年・・・。4年でも毎日講義受けてました。
 メイさんの言われるように病院は、患者さんにとって非常に大事な事です。
by エア (2005-06-30 00:44) 

tyokyori-sousyano-kodoku

こんばんは。
友人はある日、あきらかに流行りのインフルエンザにかかったので某大手の救急指定病因に行った所「風邪です」と診断されたそうです。彼女が「絶対インフルエンザだから検査してくれ!」と言っても「風邪ですから」と言って風邪の薬しかくれなかったそうです。
まったく治らないので、2ー3日後別の病院にいくと
「○○さん!なんで放っておいたの!インフルエンザだよ!検査にもばっちり出てるの!!!」と散々怒られたそうです。
彼女は「だからあたしは最初からインフルエンザだって言ってたのよ!」と激怒していて、最初の大手病院に治療費を払わなかったそうですが、先方からものすごい脅しの督促がやってきて、1年後仕方なく払ったと悔しそうに言っていました。恐いですねえ、これがもっと大きな病気だったら・・・。これって誤診ですよねえ??
長々と失礼しました。
by tyokyori-sousyano-kodoku (2005-06-30 00:44) 

メイのかつおぶし

エア様 コメントを書いていただき,ありがとうございました。ブログ復旧まで,お返事が遅れて申し訳ありませんでした。たいへんなご経験をされたようですね。転院先の治療内容が優れたもので良かったです。医療関係者の判断は患者の運命を左右するほど大事なものです。
by メイのかつおぶし (2005-07-02 12:25) 

メイのかつおぶし

うかつ者様 コメントを書いていただき,ありがとうございました。ブログ復旧まで,お返事が遅れて申し訳ありませんでした。インフルエンザか風邪かというのは大きな違いですので,誤診の可能性がありますね。ただ患者にとって問題は治るかどうかですから,最終的に(ご友人は)治って良かったと思います。
by メイのかつおぶし (2005-07-02 13:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0