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報道と真実 [仕事を考える]

 新聞や月刊誌の仕事をした経験から言えるのは、報道というのは事実を伝える機能もある一方で、事実を覆い隠す機能、プロパガンダ機能があることだ。日本のマスコミは正反対の機能が混然一体となっている。

 全国紙や通信社は内閣官房の意向を強く反映する。自民党の二世議員の元秘書官は「新聞の一面を毎日決めていた」と話していた。新聞社の編集幹部が決めるのではないかと一般には思われているだろう。しかし違うのである。業界誌や業界紙であれば管轄官庁の担当者が、毎回紙面や誌面をチェックして、電話でクレームや感想を入れている。こうしたクレームには逆らえない。

 報道の真の主は内閣や官僚というわけである。恐ろしいのは白を黒とするようなことだ。マスコミが一斉にキャンペーンが始まると、事実でないことを基に世論が喚起される。

 事実を書きたい、社会を変えたいと考えて、若者がマスコミに入るとこうした壁にぶつかってしまう。慧眼の主は下らないと考え、また恐ろしいと考えるだろう。

 マスコミというのは民衆の間から生まれたものではなく、また民主主義の落とし子でもない。もともとは西欧で金融資本家が植民地戦争を伝達することを目的とする事業である。Financial Timesなどを読んでいるとそれがよく分かる。金融資本家の事情で事実が歪められることがある一方、それが極端だと信用もされなくなる。

 本当に事実を伝えるのは小規模の出版であり、また民衆というものは実際、そんなに事実を知りたいとも思わないので、あまり売れないというのも本当のことである。

 こうした残念な事実からスタートすると、事実が見えるのではないだろうか。確かに入ってみないと分からないということがあるので、入ってみるというのも手であろうが、あまりお勧めはできない。
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