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隠ぺいされた組織悪

 長年続く組織には組織悪が蓄積されていることがあり、内容としては犯罪、民事上の不正、粉飾会計などである。組織悪は重大で多数ということもあるし、軽微で少数ということもあるだろう。少なくとも既存の構成員にとって、外部に明らかにされると構成員の1部が追放されるか、組織が崩壊してしまう蓋然性が高いものとして認識されている。こうした認識は間違っていない。悪事を隠ぺいしている人は実によくその重大さが分かっている。だから注意深く隠ぺいされている。

 彼らにとって脅威はよそ者であり、新入りである。脅威が大きければ大きいほど、よそ者や新入りが正義感を持って告発しないように、洗脳したり脅したりして支配しようとする。組織悪の共有体に取り込もうとする。洗脳したり脅迫するのは面倒といえるが、組織を成長させたり維持したりするにはよそ者や新入りを入れざるえないというジレンマがある。

 もっともそんなことはよそ者や新入りにとっては本業や組織の目的と関係ないことなので、支配や脅迫に多大な経営資源を費消するのは不合理だし、理不尽に思ってしまう。

 ただし現在はネットが安価に使えるし、行政やマスコミもネットでの匿名の内部告発を受け付けていることがある。新入りやよそ者が内部告発するのはスマホを少し操作するだけでよい。

 騒動が起きたからといって、行政やマスコミが問題解決に取り組むというわけでない。解決させるには組織の当事者が取り組まなくてはならず、組織的反発に遭うので実に大変である。何の報酬もないのに組織に触れてはいけないもの、蓄積されたタブーに切り込んで、解決する人間はいないのが普通である。

 しかし世の中悪いことばかりではない。良いことはカネに色はないということである。多くの腐った組織が、自分の組織はだめだと思い、新しい事業を新部門や子会社にやらせる。腐った組織が蓄積したカネに色がないからである。腐った組織が出資して、腐っていない子会社が産まれることがある。この蓋然性は少なくとも腐った組織が浄化され、まともになる蓋然性より高い。

 賢明なる組織管理者は蓄積されたタブーには切り込まず、むしろ金だけを利用しようとする。ただし腐ったものは腐り切り、行きつくところまで行きつくまで放っておくしかない。いわば時間戦略である。

 私はかつて、蓄積されたタブーに何度か切り込んで、切り込んで損をした回数は一般の人たちより相当に多いと思われる。個人対組織で、無謀な闘いをするのはドラマの素材にはなるかもしれないが、損ばかりである。

 しかし経験と洞察から時間戦略しか方法はないのではないのではないだろうかと思ってしまう。悪事の勢力が強いときは圧倒されたふりをしてやり過ごす。改革のためには出資させるのである。

 組織悪の悪事が滅びるのは組織と同時のほかはない。組織悪と闘ってはいけない。
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