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妬み発作 [日ごろのこと]

 大嶋信頼の妬み発作論は興味深い。妬み発作は人間の動物的本能である。自分のほうが立場が上のはずだと思っていたのに能力や金銭や容姿や可能性などが優れているのを見せつけられると、とっちめてやりたいと思うのである。劣っている自分と同じ水準まで落としたいわけである。企業社会の現在、妬み発作で、昇進昇格の足を引っ張ったり、悪評を流したり、退職に追い込んだりする。人間は脳の仕組みとして自分は平均より上の地位にあるものと考えるものらしい。

 何とも卑しい。しかしこうした人間の卑しさから目を背けてはいけない。相手が妬み発作を生じさせているかどうかは表情を見れば分かるという。能面のような無表情になるという。

 私の考えでは能力、経済力、立場、容姿などが乏しく、またはそうしたものが衰退、下降しつつある人たちほど妬み発作を起こしやすく、またとっちめてやろうとする破壊的言動も大きい傾向にあるようだ。もちろん例外もいるだろうがそんなに多くないだろう。

 努力に集中している人が妬み発作を起こして、自分にも相手にも不利で、不合理な言動をするだろうか。

 本多静六も東大で退職勧告状を手にした同僚教員の押し入りにあったという。経営陣でもないのにとんでもないことだ。原因は同僚に比して多額の寄付をしたということらしい。蓄財できたのは不正があったからだというわけである。蓄財の道のりをつまびらかにして、さらにはビールまでを飲まして何とか説明したらしい。こうして嫉妬というのは卑しいものである。静六は演習林収入で東大に定年制を敷いたとされ、東大の財政基盤を盤石した。しかし農学部長、または総長に就かなかったのはこうしたこともあったのかもしれない。

 中小企業など人的交流が少ない職場、研究室や学校など、毎日通わざるを得ないようなところで、マネジメントにある立場が妬み発作を発生させ続けると、大変に困ってしまう。そうした所は出ていくしかないのだろう。

 販売員がカスタマーリレーションそっちのけで、訪れた顧客に妬み発作を起こすという奇妙な現象に遭遇することがある。あんた何やっているんだと驚いてしまう。よほど待遇が悪いのだろうかと心配になる。店舗でしかも就業時間内にやるのだから、経営者としてもたまったものではないだろう。また販売員の働き方としても顧客に敢えて不利なことをするのだから不合理なことである。

 しかしロボットでないのだから、人間の人間たるゆえんである。不合理な言動をするほど、無駄なことができるのだから、よほど余裕があるというか、のんきだとも言えるが。

 私の考えでは妬み発作を起こされるのは天のメッセージである。ふさわしくない所、ふさわしくない人間、ふさわしくない組織を相手にしていますよと言われているのである。もっと足を使って、優れた所、優れた人物、組織を求めなさいと言われているのである。
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