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発生させるコンフリクト [日ごろのこと]

 概ね年功序列の集団で、誰よりも仕事に貢献していることが自他と共に知れていて、将来の後継者と目されていた側近がいたとしよう。しかし経営者が変心して、側近でもなかった人間を後継者を据えることがある。あるいは一方を降格させて一方を昇進させたりする。

 どうしてこんなことをするのか奇妙に思える。合理的な理由は出てこない。将来の後継者と目されていた側近は我慢できればいいが我慢できずに憤慨して、仲間を引き連れて出て行ったり、仲間と共に反旗を振りかざしたりして、コンフリクトが生じる。

 今までの忠誠心と勤勉さが無になったのだから、少なくとも憤慨するのは当然であろう。そして仮に想定通りに後継者を据えていればこうしたコンフリクトも生じなかっただろう。経営者が波風が立っていない池面に、じゃぼんと石を投げ入れるようなものである。

 昭和的な話である。私が子どものころ、こうした話を何度か聞いた。これは要するに経営者が土壇場になって、幼稚な感情で判断しているにすぎない。経営に詳しくなくても、社会通念上、そんなことをするとコンフリクトが生じて、それを収めるのにコストがかかるだろうということを、経営者が敢えてやるのである。

 原因は感情である。恐らくは経営者が引退時、オレはまだまだ力があるんだぜというところを見せつけたいのだろう。忠誠心がある側近を理由なく立場を失わせるほど力があるということを見せつけたい。

 そんなところで張り合ってどうするのか、本業で実績を残したらどうかなどという評判が立つ。力があることが示せたかどうかは伝わらず、経営上、殿ご乱心ぐらいという悪い評判が立つだけである。

 阿呆である。ばかばかしいのだが、ばかばかしいことをするのが人間という生き物である。合理的でも何でもないのである。
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